【書評4】『わけあって絶滅しました。』丸山貴史|99.9%の生き物はすでに滅びている?
生き物が絶滅する要因
1、環境の変化
人間のせいでさまざまな生き物が絶滅しているような印象があるが、大きな目で見ると規模は小さい。地球上に生まれてきた生き物のうち、もうすでに99.9%の種が絶滅しているが、そのほとんどの原因が環境の変化による。
例えば、恐竜が幅を利かせていた中生代後期では、隕石によって地球上の気温が変わり、その時の約70%もの生き物が絶滅している。そこからさらに昔の時代には、マグマの大噴出によって95%もの生き物が絶滅したこともある。
他の種を圧倒し、体が大きくなった生き物がどれだけその時代を有利に過ごそうとも、理不尽な環境の変化、自然の前では関係ないのだ。
2、ほかの生き物によって
より強い、速く動ける、賢いなど、自分の住む環境に適応、侵入してきたライバルの生き物によって、「すみか」や「えもの」を奪われ絶滅する例が数多くある。
また、上にあげてきたことに比べると割合はだいぶ少ないが、人間も多くの動物を滅ぼしてきた。食料として狩りすぎたり、今まで無人だった島にペットを連れ込んでそれがもともといた生き物を滅ぼしたりした。
以上のように、この本には具体的な動物とともに様々な例を見ることができる。文体がユーモアがあって楽しく読み進められる。
絶滅があったからこその私たち
著者がとても素晴らしい表現をしていました。
「わたしたち生き物は、地球全体でイスとりゲームをしているようなもの。」
恐竜が地球のいい席を独占していたせいで、ほかの生き物たちはひっそりと暮らすしかなかった。体も大きくできない。隕石による恐竜の絶滅により、地球に空席ができたわけだ。
その空席に座ったのが哺乳類や鳥類で、絶滅がなかったらそれらの進化はありえなかった。陸海空とそれぞれ進出し、体も大きくすることができた。絶滅と進化は背中合わせの状態なのである。
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