汲めども尽きぬ知恵の泉

「武器はこの身ひとつ」を目指して

読書

【書評28】『ジョークで読むロシア』菅野沙織|【つらい時こそ笑いを】【ロシア人に学ぶ「強さ」】

はじめに この本は日経プレミアシリーズなので、 主にロシア経済についての話が書いてあります。 内容に関しては、ロシア経済について 時々ジョークを入れながらロシア人の国民性や習性、考え方などを 踏まえて解説してくれているという、すぐれたものだ。 …

【書評27】『乱読のセレンディピティ』外山滋比古|日常に効く薬のような話

セレンディピティ。 思いがけないことを発見する能力。 今の時代本はあふれるようにあるから、良書にはなかなかたどり着けない。 あと、ゆっくり読むことを良しとされてきたが、それでは殺してしまうものがあり、逆に案外つかめることも多いよ。 タイトルは…

【書評26】『もの食う話』文春文庫|毎日行う「食べる」が豊かになる本【文豪たちの食のとらえ方、体験】

この本は、「食べる」ということをテーマの短編を集めたものだ。 永井荷風、大岡昇平、筒井康隆などの文豪たちがそれぞれの角度から 食に対してアプローチしている。 食べることは、性欲、好奇心に深く関係しているし、 神秘的な表現をする人もいれば、忌み…

【書評23】『空想工房の絵本』安野光雅

絵本の紹介は初めてです。 ただ絵本といっても読みごたえがあり、その世界観と 日常であまり触れることのない知識に脳が活性化されました。 この本は、1ページごとに違った絵(「数理科学」という雑誌の表紙となったもの) があり、それぞれに解説や作者の…

【書評22】「チョコレート検定(公式テキスト)」|今のチョコがあるのは彼らのおかげだった!

この世の中万事に歴史があります。 チョコレートもしかり。 チョコレートには4大発明と呼ばれるものがあり、 進化を経て今の美味しいチョコレートへと進化してきました。 そして、実はあなたが今おいしいチョコレートを楽しめるのは 良く名前を聞く「あの…

【書評21】『情報だけ武器にしろ。』堀江貴文|情弱を抜けだしてこの世の利益を享受しよう

情弱は貧困を導く 情報とは自分から取りにいくもの できる人間は圧倒的に情報収集している 情報と会うつもりで人と会う 運の良さ、チャンスの本質とは情報に飛びつけるかどうか アイデアは情報の組み合わせ まとめ 情弱は貧困を導く 「情弱」とは、ネットス…

【書評20】『教団X』中村則文|総合的な知識がついて良き

絶対的な闇、圧倒的な光。「運命」に翻弄される4人の男女、物語は、いま極限まで加速する。米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)年間ベスト10小説、アメリカ・デイヴィッド・グーディス賞を日本人で初受賞、いま世界で注目を集める作家の、待望の最新…

【書評19】「言葉・狂気・エロス」丸山圭三郎|プロ、アマなんて人間の言葉遊び

1.世界では境界がなくなってきている 音楽の世界を例にしましょう。過去のバンド、音楽家はコンテストやオーディションを受けるか、音楽学校に通うなど、いわゆる「プロ、人気者」になるにはこれらを経てからでなければいけませんでした。 しかし、YouTubeか…

【書評18】『掏摸』中村文則|善悪とはそもそも存在しないのではないか?

あらすじ お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎-かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してき…

【書評17】『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』藤由達蔵|成功する人間の共通点は「行動力」

この本の主張はシンプルだ。 「行動する者だけが人生を変えられる。より良い方向に持っていける。」 「10秒以内に動け」 ただ、考えること、学ぶことができても、それを実際に行動にできる人はごくわずかだ。また、理解しても、それを現実の行動に起こせなけ…

【書評16】『解剖学教室へようこそ』養老孟司|名前を付ける=ものが切れる

「ことばというレッテル」を貼り付ける モノには、名前がついている。木は木。イヌはイヌ。家は家。誰が決めたかは分からないが、ともかく誰かが、こういう名前を付けた。 人は、ことばを使うようになってから、ありとあらゆるものに名前を付けまくった。つ…

【書評15】『ことばと文化』鈴木孝夫|「ことば」が「モノ」よりも先にある?

ことばがモノを在らしめる 前回の書評で、人々は世界を分けて区別、理解しているということを紹介した。それでは、人間は何を使って世界を分けているのか、それは「ことば」である。 この世に存在するすべてのモノ、またモノだけでなく動きなど無形のものな…

【書評14】『世界は分けてもわからない』福岡伸一|なぜ勉強するのか?

人々は物事を分けて考えている 歴史でも生物でもそうだが、人々は物事を理解しやすくするために区別し、枠組みを作る。例えば、ここからここら辺までが白亜紀、何年から何年くらいまでがカンブリア紀、といった具合に。 また、縄文時代、弥生時代といった枠…

【書評13】『明治の人物像』星新一|努力し、なお努力する

本を読み始めたきっかけが小学校の時出会った星新一のショートショートである。今でもショートショートが好きだが、それに劣らず星さんの長編が好きである。『声の網』『人民は弱し 官吏は強し』など名作が多い。 今回の『明治の人物像』だが、これは星新一…

【書評12】『好きなことだけで生きていく。』堀江貴文|まずは行動、とりあえず行動

行動力こそ価値がある 真っ先に行動を起こす人間は、良い意味でバカが多い。リスクを小利口に計算せず、しようともしないバカさ加減がイノベーションを生み出す。その先に成功があろうが失敗があろうが、どちらからも学びがある。 そもそも失敗したところで…

【書評11】『国境の南、太陽の西』村上春樹|

自分の中の繊細な部分を表現してくれる 村上春樹を初めて知り、引きつけられた原因はこの『国境の南、太陽の西』だ。たしか高校の時の国語の模試かなんかで、この本の一節が引用されていた。そしてその中の一部に衝撃的な共感を持った、という感じでこの本を…

【書評8】『脳には妙なクセがある』池谷裕二|人がブランドに動かされる理由とは

直観的にイメージで判断する脳 前回の『不合理な地球人』では、人の間違った判断について経済的な視点から触れたが、今回は脳科学からだ。 有機栽培、オーガニック食品という言葉を頻繁に目にする。こういったフレーズを見るとついひかれてしまう。健康に良…

【書評7】『不合理な地球人』ハワード・S・ダンフォード|合理的に考えているようで実はそうではない人びと

人間は限定的に合理的である。 合理的というと、冷静で冷たい、非感情的など負のイメージが出てくる人もいるかもしれないが、いったんそういった考え方はどこかに追いやってほしい。 合理的であることは、投資や仕事といったことだけに必要とされるものでは…

【書評6】『本は10冊同時に読め!』成毛眞|”その他大勢”から抜け出す生き方

「速読」かつ「多読」の読書術 題名となっている、「10冊同時に本を読む」こと自体は簡単だ。成毛さんが言うには、リビングやトイレ、通勤用カバン、ベッドなど、さまざまな場所に本を用意し、その場所によって読む本を変えるというものだ。そんな感じで、一…

【書評5】『星の王子さま』サン・テグジュペリ|いちばんたいせつなことは、目に見えない

外見は大切ではないが利用できる あるトルコの天文学者が、発見した小惑星について会議で発表した。しかし、彼の発表はそのときの服装のせいで認められることはなかった。数年後、今度は洗練されたスーツで全く同じ発表をしたところ、全員に認められた。とい…

【書評4】『わけあって絶滅しました。』丸山貴史|99.9%の生き物はすでに滅びている?

生き物が絶滅する要因 1、環境の変化 人間のせいでさまざまな生き物が絶滅しているような印象があるが、大きな目で見ると規模は小さい。地球上に生まれてきた生き物のうち、もうすでに99.9%の種が絶滅しているが、そのほとんどの原因が環境の変化による。 …

【書評3】『すべての教育は「洗脳」である』堀江貴文|常識から解放されよう、やりたいことをやろう

貯金的思考の人びと 学校教育で学ぶ、いや学ばされている内容というのは、「いざという時」のためで、役に立つのか立たないのか分からない。やりたいことがあっても、いざという時に備えて我慢しなさい。という大人たちの理屈で機会をつぶされ、我慢を強いら…

【書評2】『緋色の研究』コナン・ドイル|シャーロックホームズの第一作

推理分析は多くのことをもたらしてくれる ホームズは、自身についてでもある以下のような記事を新聞に載せている。 観察力に富む人間は、多くのことを学ぶことができる。ある一つの提示されたモノから、見たり聞いたりしたことがないものの存在を推定、想像…

【書評1】『億男』川村元気|人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金。

お金持ちになりたいと心から願っているのか? 「学問のすゝめ」の有名な一説、『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。』「億男」の主人公とおなじく、多くの人はこの文の意味を「人間は平等」的な意味だと思っているが、実は違う。この文には続きが…

星新一のショートショートの世界⑦「ほほえみ」

あたしはなぜ、こんなところに立っているのかしら、と、その女は思った。 これはどこへ行く道?いくら考えてもわからなかった。 そのうち一台のバスがやってくる。あれに乗ればいいんだわ。 行くべきところに運んでくれるでしょう。 停車したバスに乗る時、…

星新一のショートショートの世界⑤|「あばれロボットの謎」

人間の乗り込んだロケットが宇宙に飛び出すように、宇宙からとんでもないものが 地球にやってこないとはいいきれない。 ある晩秋の夜、郊外に住むエフ少年は星がまばたく空を見て考えた。 「この広い宇宙の星々には、どんな人たちが住んでいるのだろう」 そ…

星新一のショートショートの世界④「タブー」

夜おそくの盛り場。 賑わいが残るなか、一人の若い女が空車のタクシーを捕まえた。 女は中のシートにかけ、行き先を告げると、 「気が進みませんなあ」と、顔をしかめながら運転手は返答する。 女は腹立たしげに 「なんてこと言うの、あたしに何か不満があっ…

星新一のショートショートの世界③「大黒さま」

元日の夜、うつらうつらしていたエヌ氏は、誰かが訪れる気配を感じた。 「どなたですか」 と身をおこすと、肩に大きな袋をしょった、福々しい顔をした大黒様だった。 念のため確かめてみると、 「そうだ。お前に福を授けに来たのだ」 と、本物に間違いないよ…

日記③本の選び方がまた一つ増える|村上春樹「ノルウェイの森」より

自分はいままで本を選ぶ基準なんて考えてこなかったし、そんなこと思いつきもしなかった。本屋を適当にぷらぷら歩いてきめる、小説の中に出てきた、あるいは人に紹介されたなどといった方法で、次読む本というものを決定してきた気がする。 村上春樹のノルウ…

読書はメリットだらけ!|読書することで得られる驚くべき効果

年収や学力など、読書の有無によって差が出てくる統計を良く見聞きするようになりました。これはある程度本当の話です。 読書といわれると、苦手意識が多い人もいるかと思います。しかし、本を読まないことはとてももったいないことなのです。知識がつくだけ…