夜おそくの盛り場。 賑わいが残るなか、一人の若い女が空車のタクシーを捕まえた。 女は中のシートにかけ、行き先を告げると、 「気が進みませんなあ」と、顔をしかめながら運転手は返答する。 女は腹立たしげに 「なんてこと言うの、あたしに何か不満があっ…
元日の夜、うつらうつらしていたエヌ氏は、誰かが訪れる気配を感じた。 「どなたですか」 と身をおこすと、肩に大きな袋をしょった、福々しい顔をした大黒様だった。 念のため確かめてみると、 「そうだ。お前に福を授けに来たのだ」 と、本物に間違いないよ…
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