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【書評28】『ジョークで読むロシア』菅野沙織|【つらい時こそ笑いを】【ロシア人に学ぶ「強さ」】

はじめに

 

この本は日経プレミアシリーズなので、

主にロシア経済についての話が書いてあります。

 

内容に関しては、ロシア経済について

時々ジョークを入れながらロシア人の国民性や習性、考え方などを

踏まえて解説してくれているという、すぐれたものだ。

 

ただ、今回は経済については書きません。

みんな経済の話よりもジョークのほうが

面白いと思うに決まっているから。

 

ただ、面白いだけでなく、ロシアの国民性も

ぼんやりと意識してってくれると少し勉強になります。

 

ジョーク

 

つらいことは笑いで吹き飛ばす

 

A「さて、ニュースが二つある」

B「いいニュースから始めてくれ」

A「誰が、いいニュースがあるって言ったんだ?」

 

猛暑の中、ロシアの保健省がアドバイス

ーたくさん飲んで、仕事はほどほどに

「なんだ、いつもやっていることじゃないか」

 

つらいとき、いやなことがあった時ほど笑おう、

というのが彼らの考え方だ。

沈んていても笑っていても事態は変わらない、

できることをやったのなら笑っていたほうがいい。

 

ウォッカ

 

 

男がレストランに入りウェイターに言った。

ウォッカデカンタでくれ。あとは何か君の好きなものでいい。」

ウェーターは注文を書きとめた。

ウォッカデカンタ2つ。」

 

この小話が個人的に大好きです。

飲みの席でなにか応用が利きそう。

 

この話に続きがあるとしたら、2パターンあると思う。

ウォッカのデキャンタ2つが置かれたのを見て、

  • 当然のように二つとも飲む。
  • 客が大笑いする。

文句を言うなんてつまらない回答はなさそうだ。

 

にしても頭おかしいしおもしろい。

あとこのウォッカ好きすぎるのはほんとなのか笑い話なのか分からない。

 

リーマンショック

 

男二人が話している。

A「この経済危機は離婚よりはるかに大変だ!」

B「いったいどうしたんだい?」

A「聞いてくれ、資産が半減したというのに、女房はまだ家にいるじゃないか」

 

リーマンショック後、中小企業の社長らの話

A「景気はどうですか?」

B「そりゃもう大変ですよ」

A「うちも相当厳しいです。従業員には、

 もう会社に来なくていいといったのに、

 まだ来ているので困っているんです。」

B「うちもそうなんです。

 来なくていいといったのに、毎朝やってくる。                      

 どうすればいいんでしょうか。」

A「私にいいアイデアがあります。会社の前に改札機を置いて、

 入るたびにお金を取るんです。

 こうすれば、さすがに来なくなるでしょうから。

B「それは名案だ。うちでもやってみます。」

 

数週間後

A「改札機の効果はどうでしたか」

B「無駄でしたね。お金を払っても、毎日やってくるんです」

A「うちはもっとひどい。連中は節約して、

 月曜日に出社すると、金曜日まで帰ってくれなくなったんです。」

 

たくましさがすごい。ポジティブ。

 

お金の話

 

 

 

金は悪なんかじゃない。悪はそんな簡単に消えたりしない。

 

 

「ねえ、お父さん、教えて。好景気ってなんなの?危機ってなんなの?」

「よく聞けよ、好景気とは、

 シャンパン、メルセデス、きれいな女の人だ。

 そして危機とは、

 レモネード、地下鉄、それからお前のお母さんだよ」

 

 プーチン大統領が首相に声をかけた。

「危機から脱出する方法を思いついた。

 一つ目は、火星人が来てロシア人を助けてくれるのを待つこと。

 二つ目は、何とかして自力で危機から立ち直ること」

すると首相はこう答えた。

「大統領、二つ目の方法は非現実的だから検討すべきではありません」

 

最後の小話が秀逸であったのは、割と冗談ではなかったことらしい。

事実この時の危機を救ったのは、「原油価格の上昇」という

どこからともなく表れた火星人であったのだ。

(ロシアは石油や天然ガスの生産量が世界一)

 

強い

 

 

ロシアとドイツが、お互いに自動車を好感した技術を試しあうことになった。

ロシアのチームにはドイツ製自家用車「オペル」100台が、

ドイツのチームにはロシア型大型トラック「カマズ」100台が与えられた。

 

二年後、試験結果が発表された。

ロシア人チーム

オペルは大した車ではない。たった2年でぼろぼろだ。」

ドイツ人チーム

「カマズは大した車だ。たった2年で国中の道路がぼろぼろだ。」

 

ニューヨークのロシア人街。道端で二人のロシア人が立ち話をしている。

すると車がやってきて、窓から男が顔をだし、

流ちょうな英語で二人に話しかけた。

 

「すみません、ここから一番近いガソリン

 スタンドはどこでしょう?」

 

二人の男は無言。車の男は繰り返すが、

反応のない二人にしびれを切らし走り去った。

 

二人の男の一方が言う。

「見ただろう、英語が上手でも何の役にも立たないってことを」

 

 

友人二人の会話。

「すごくラッキーな友達がいるんだよ」

「どうしたの?」

「昨日保険に入ったばっかりで、

きょう交通事故で大けがをしたんだ。大儲けじゃないか。」

 

こういうゴリゴリな感じがいいですね。

時事や政治的なことも含まれていてうまい。

 

ちなみにロシア人はあまり保険に加入している人が少ないという。金銭面的なこともあるが、そもそも金融機関や保健機関を信用していないそうです。

 

 

おわりに

 

 

さて、これらを見ても分かるように、

ロシア人は陽気で、ウィットに富み、

すがすがしい性格をしているように思えます。

 

あとこの本を読んでて思い出したのが、

司馬遼太郎の「坂の上の雲」です。

 

この小説のに出てくる秋山好古(主人公の一人、日本の騎馬隊を率いている)

という人物も、ロシア人を絶賛していました。

 

どンな状況だったかだったかは定かでないですが、

彼がロシア人将校とお酒を飲みあうシーンや記録があり、

 

「こんなに愉快にお酒を飲んだのは初めてだ。」

「なんとさっぱりしていて熱い奴ばっかであろう。」

「戦うとなると…」

 

みたいなことが書いてあった気がします。

 

さて、おそろしあの印象が薄れたでしょうか?

 

 

 

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