【書評23】『空想工房の絵本』安野光雅
絵本の紹介は初めてです。
ただ絵本といっても読みごたえがあり、その世界観と
日常であまり触れることのない知識に脳が活性化されました。
この本は、1ページごとに違った絵(「数理科学」という雑誌の表紙となったもの)
があり、それぞれに解説や作者の思いが書かれています。
面白かった考えを紹介します
〇
「一寸先は闇」
著者の好きなことわざらしいです。
科学的調査でも、天気予報が外れることがある。
経済学者も株で大損する。
一寸先のわからないことを知りたがる人が大勢いるから占い師は成り立つ。
確かに人間社会もそれで成り立っているものが多そうだ。
〇
哲学者ジョルダーノ・ブルーノ
「もし星の一つ一つが太陽と同じものであるとするならば、
多くの星の中には太陽のように惑星を持っているの違いない。
すれば、その中には地球のように知的生物もいるだろう。
したがってこの広い宇宙の中にはキリストのような偉人が
二人か三人あるとしても不思議はない」
科学の発展により宗教はなかなか昔の理論が通じなくなってきた。
この考え方も非常に視点が面白いと感じました。
宇宙は信じられないくらい広い。本当に広い。
昔は宇宙人なんていないと思っていましたが、
今となってはどこかに生命体はいると確信できます。
と、すると彼らにもあがめる対象があるのではないか?
この地球と寸分違わぬ姿の星があったとしたら、神が二人になってしまう。
地球とは違う形で生命が進化していた場合は、彼らには我々と違う神が
存在していることになる。
ちなみにこの哲学者は法王庁の怒りに触れて殺されたらしいです。
〇
線香花火は、起承転結のモデルのようだ。
線香花火が終わると、闇が来るが、
それは次の花火に火をつけるまでの間の、期待のある闇だとも。
感性に嫉妬します。
〇
ローマ法王が地動説を認めたのは割と最近
2008年12月11日に、ようやく法王のベネディクトが
協会の過ちを認めたという。
それにしても宗教裁判というものは怖い。
科学的な進歩を殺してしまう。
説の支持者も殺してしまう。
〇最後に
魅力的な絵が多いです。
教養の広さを感じ、やはり読書は大事だなと思いました。
物事の見る目が変わる。
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