「聞き上手」で人たらしに|古典から学ぶコミュ力
人の話を聞くことがうまいことは、話しがうまいことよりも強いです。
これはテレビや雑誌などでたびたび語られており、実際にそうだと感じている人も多いと思います。
私は最近家にある本を読み返しており、この「聞き上手」ということについて、実に多くの作家が肯定しているという発見をしました。
時代の違う人物、しかも現代に読み継がれている超有名な作家が持ち出しているから間違いないと、そう思いました。紹介していきます。
◯「ハムレット」より
かのシェイクスピアの名作ハムレットの中で、王に仕えるポローニアスという人物がでてきます。彼はフランスに発つ息子に対してさまざまな注意をするのですが、その中の一部です。
「二度聞いて、一度物を言え。」
「人の意見を受け入れて、自分の判断は差し控えるのだ。」
人には自分の倍喋らせろ。そうすれば関係がうまく行く、という意味でしょうか。
それとも人は相手の二倍ほど喋ってようやく同じくらい話したと感じ、満ち足りた会話だったと思う、という意味なのか。
どちらでもいいですが、とにかく聞き役に徹しよ、という忠告を与えています。
◯「グレート・ギャツビー」より
この本はアメリカ文学を代表する小説です。一文も無駄なところがない、と言われているほど名作中の名作です。
小説の初めに、主人公が過去に父に言われた事と、それを守り続けた結果主人公が悟った内要が語られている。
「人のことをあれこれ言いたくなったら、ちょっと考えてみるがいい。この世の中、みんながみんな恵まれているわけではない。」
「(父が言った内容が影響して)今でも私は何かにつけて判断を差し控えることがある。そうなると、おかしな人間がやってきて自身をさらけ出そうとする。」
「普通の人間が態度を保留(批判しない、良し悪しを言わない)していると、普通ではない人間が目ざとく寄りついてくるということだ。」
フィッツジェラルド(作者)は、聞き上手のさらに先をいっているように思います。
人の話を聞き、それをあれこれ警告や否定をしないでいると、人々は自らの内面、気持ち、秘密話し、聞きたくない話まで打ち明けてくる、というようなことだと考えられます。
さらにあるグレート・ギャツビーの訳者は、こういう表現を使っています。
「判断を控えるということは、無限の可能性を生むことである」
他にも、様々な作品の中で、「人の話を聞く」ということは良いこととされ、重宝されます。
村上春樹の作品の主人公は無口な設定であることが多い。(無口になれというわけではない)
シャーロック・ホームズも、相棒であるワトソンに「君は話の相手役として適しているという素晴らしい才能がある」的な発言もしていたように思います。
まとめ
今関わる人とのコミュニケーションを改善、向上させるにはやはり人の話を聞く、なるべく相手に話させる、ということが有効そうです。
応用的な考え方をすると、ある人と仲良くなりたければ、情報を手に入れたければ、単純にうまい聞き役に徹しろということになるかもしれません。
また、グレートギャツビーの主人公やワトソンのように、金持ちや、優れた人物、一風変わった天才など、そういった彼らとの出会いや仲良くなる瞬間を逃さないことにもつながるかもしれません。
以上、「聞き上手はやはり強い」ということの裏付け、考察でした。
|
|