「実需」と「投機」とは?これだけ知ればOK
投機筋のプレイヤー
外国為替市場に参加し、取引している人たちの中に、
「機関投資家」という人たちがいる。
まず銀行。キャピタルゲイン(為替差益)の獲得を目指して、
自己資金を使って為替取引を行っているが、これをディーリングという。
よく聞くインターバンク市場とは、
銀行同士がこのディーリングを行っている市場のこと。
次に、生命保険、損害保険、年金基金なども、為替取引を行っている。
国民(顧客)から集めた保険料や年金は資産として運用されて、
増えた一部を給付金や年金として還元する、という仕組みだ。
銀行と同じく、資産の運用先の一つとして外国為替市場を選択していて、
また同じく為替レートの変動を利用した為替差益を狙っている。
もちろんこのほかに、多くの顧客から資産を集めて多額の運用を行う
これまで述べてきたプレーヤーたちがいわゆる「投機」筋の人たちで、市場の8~9割がこの人たちといわれている。
実需筋のプレイヤー
海外との間で製品の輸出入を行う一般の企業も、
外国為替市場におけるプレイヤーだ。
例えば、国内で自動車を作ってアメリカに輸出しているA社があるとする。
アメリカの消費者、あるいは企業などは、その自動車をドルで購入し、A社に支払う。
ここに、A社が為替取引を行わなければならない理由が出てくる。
A社は、アメリカの消費者から得たドルを日本円に換金しなければ、
日本で従業員に対して給料が払えなかったり、
部品など購入の代金の支払いなどができない。
そして、「いつ日本円に換金するか?」ということが問題になる。
アメリカで10000ドル稼いだとして、
1ドル100円の時に換金すれば1000000円。
1ドル110円の時に交換すれば1100000円
と、売り上げが全然変わってきてしまう。
つまり、為替レートが変動するために生じる、為替リスクがある。
実際には、これを防ぐために先物為替予約という取引手法で、
リスクを抑えるような行動をしている。
これは、1か月後、3か月後といった一定期間後に、
あらかじめ契約によって決めた為替レートで通貨を交換するよ、
といった予約を取引先の銀行とかわしておくもの。
こういったA社のような例が、「実需」と呼ばれるものだ。
個人が海外に行った際に通貨を交換する為替取引もこれ。
いずれにしても、為替利益を最大にする、
あるいは損を最小にするように行動している。