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【書評6】『本は10冊同時に読め!』成毛眞|”その他大勢”から抜け出す生き方

「速読」かつ「多読」の読書術

題名となっている、「10冊同時に本を読む」こと自体は簡単だ。成毛さんが言うには、リビングやトイレ、通勤用カバン、ベッドなど、さまざまな場所に本を用意し、その場所によって読む本を変えるというものだ。そんな感じで、一日のうちに何冊もの本に目を通す読書法だ。

 

また、読む内容も、同じ種類のものではなく、小説やエッセイ、歴史、科学など、一分野に限定してはいけないというものだ。

 

さまざまな本を並列して読むことにはメリットがある。まず、一冊に費やす時間が短いので、その分集中することができる。ひとつの本を終わるまでずっと読むというのは、ダラダラとなったり、面白くない部分に差し掛かった時に飽きてしまったりという恐れがある。

 

ほかに、さまざまな種類の本を読むことで、脳の様々な部位が刺激でき、アイデアもいろいろな場面から獲得できるという点がある。ビジネスマンだからといって、ビジネス書やマーケティングの本を読んでいただけでは、思いつくアイデアは見たことあるようなものや、平凡そのものになってしまう。

 

お酒や歴史、科学の本など、一見関係のないようなものを読んでこそ、新しいアイデアを生み出し、またすばらしい感性が磨けるという。

 

また成毛さんは、一冊の本を読み通すことはかなり少ない。目次と気になるページを2,3p読むだけだったり、文章がへたくそなものは読むのすらやめてしまう。時間を最大限無駄にせず、うまく読み飛ばすことが重要だという。

 

読書自体を楽しみたい人はあまり参考にはならないと思うが、時間が限られている人にとっては良い読み方だ。また、本はすべて読む必要はない、罪悪感を感じる必要はない、というのは良い考え方だと思う。

 

「みんなと同じでいい」という考え方は捨てろ

「庶民から抜けだしたいのであれば本を読め」

「本を読まない人はサルである」

「本を読まない人間と付き合う必要はない」

 

さまざまな名言が飛び出すが、成毛さん自身、庶民とはかけ離れた考え方ができ、実行し続けている。庶民と同じものを読まず、同じものを食べず、同じようなことを避け続ける。娘には塾に通わせないなど、徹底している。

 

ノルウェイの森」の永沢という登場人物も、「おまえ(主人公)以外ここにいるやつみんなまともじゃない。俺にはわかる」というセリフを吐くが、似たような感性だと思う。人と同じことをしていては同じ世界しか見えないし、社会に動かされているままだ。

 

また、学校に関する考え方も出てくるが、堀江貴文さんの考え方に似ている。

そもそも、学校で教えるのは受験のための知識であり、記憶力を試させるのが目的である。社会に出てから記憶力が役に立つのは、人の顔と名前を覚えるような場面だけ。

学校で覚えた知識はほとんど役に立たないのだから、教科書を読むぐらいなら本を読んでいる方がいい。

 

 というように、学校で教える知識は必要のないものだと言い切っている。

 

「庶民」から抜け出すにはどうしたらよいか?そのための読書なのである。この本は、自分の中にある読書感、哲学というものを向上、修復してくれる力がある。良く本を読む方は、ぜひ読んでみてほしい。

 

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